一月の凍てつくような夜のことでした。外気温は氷点下を記録し、窓ガラスにはびっしりと結露が凍りついたような模様が浮かんでいました。そんな夜こそ、熱いお湯に肩まで浸かって一日を締めくくりたいと願うのは当然の心理です。しかし、浴槽にお湯を溜めようとボタンを押した私を待っていたのは、機械的な無機質なエラー音でした。モニターに点滅する「290」という数字の意味も分からず、私はただ呆然と立ち尽くしました。蛇口を全開にしても出てくるのは、触れるだけで指先が痛くなるような氷水だけです。最初は一時的なものだろうと楽観視していましたが、数分待っても一向に温度が上がる気配はありません。ここで初めて、私は「今夜はお風呂に入れないかもしれない」という現実を突きつけられました。慌ててスマートフォンを手に取り、検索窓に「お風呂お湯が出ない」と打ち込みました。表示された多くの解決策の中で、当時の状況に最も合致していたのが「配管の凍結」でした。特に給湯器に繋がる細い給水管は、外気にさらされているため凍りやすく、そこが詰まるとお湯を作るための水が本体に供給されなくなります。さらに追い打ちをかけるように、ドレン配管という結露を逃がすための管も凍り、排水ができなくなることで安全装置が働いて給湯器が止まってしまう現象もあることを知りました。私の家の給湯器は北側の風通しが良い場所に設置されており、防寒対策を怠っていた報いが今この瞬間に訪れたのだと痛感しました。復旧させるための手順を調べると、基本的には「気温が上がって自然に解凍するのを待つ」のが最善とのことでした。しかし、どうしても今夜中にお風呂を使いたいという焦りから、ドライヤーの温風を当てたり、タオルを巻いてぬるま湯をかけたりする方法を試しました。ここで絶対にやってはいけないのが、熱湯を直接かけることです。急激な温度変化によって塩化ビニル製の配管や金属部品が膨張し、破裂する恐れがあるという警告を読み、私は慎重にぬるま湯を使い続けました。暗闇の中で懐中電灯を照らしながら、冷たい風に吹かれて作業を続ける時間は、まるで自分自身の忍耐力を試されているかのようでした。結局、その夜にお湯が復活することはありませんでした。翌朝、太陽が昇り始めて気温が上がった頃、ようやく給湯器は息を吹き返したかのようにゴボゴボという音を立て、温かいお湯を吐き出し始めました。蛇口から立ち上る湯気を見た時の感動は、大げさではなく涙が出るほどでした。