お風呂の床下で起こる水漏れの原因は様々ですが、中でも特に発見が難しく、厄介なのが壁や床の内部に埋設された給水管や給湯管からの水漏れです。普段私たちの目に触れることのないこれらの配管は、経年劣化によって静かに蝕まれ、ある日突然、深刻な問題を引き起こす時限爆弾のような存在になり得ます。かつて多くの住宅で使用されていた銅管は、長年の使用により腐食が進行します。特に、水質や施工状況によっては、管の内部から徐々に腐食が進み、「ピンホール」と呼ばれる針で刺したような非常に小さな穴が開いてしまうことがあります。このピンホールから漏れ出す水は、最初は霧吹きのようなごく微量なものです。しかし、それは二十四時間三百六十五日、休むことなく漏れ続けます。漏れ出た水は、壁の内部にある断熱材を湿らせ、柱を濡らし、ゆっくりと床下へと浸透していきます。特に給湯管の場合、温かい水が漏れるため、床下の湿度と温度を上昇させ、カビや木材腐朽菌が繁殖するのに最適な環境を作り出してしまいます。このタイプの水漏れは、水道メーターのパイロットが常に回り続けるといった兆候で気づくこともありますが、漏水量がごくわずかな場合はメーターにも反応せず、発見はさらに困難を極めます。多くの場合、階下の天井にシミができた、隣の部屋のクロスが剥がれてきた、あるいは浴室周辺からカビ臭がするといった、かなり被害が進行した段階で初めて発覚します。一度発生すると、原因箇所を特定するためには壁や床の一部を解体する必要があり、修理も大掛かりになりがちです。築年数が二十年を超えている住宅で、特にリフォーム歴がない場合は、見えない配管が劣化している可能性を常に念頭に置く必要があります。原因不明の湿気やカビ臭は、壁の向こう側で配管が上げている静かな悲鳴なのかもしれません。
静かに進行する給湯管からの床下水漏れ