ユニットバスの蛇口やシャワーから、ポタ、ポタ、と規則的に水滴が落ちる音。最初は気にならないかもしれませんが、この小さな水漏れを放置しておくことは、思った以上に大きな代償を払うことになりかねません。これは、水道代の無駄遣いと、健康を害するカビの発生という二重のリスクを知らせる警報なのです。まず経済的な側面から見てみましょう。糸を引くように垂れる程度の水漏れでも、一ヶ月に換算すると数千リットル、水道料金にして数千円の損失になることがあります。蛇口をひねっていないのに、常に水道メーターがわずかに回り続けている状態を想像してみてください。それはまさにお金を捨てているのと同じことです。水漏れの多くは、蛇口の内部にあるパッキンやバルブカートリッジといった消耗品の劣化が原因です。数百円から数千円の部品を交換するだけで直るケースがほとんどであり、修理費用はすぐに元が取れるはずです。放置すればするほど、損失は雪だるま式に膨らんでいくのです。そして、経済的な損失以上に深刻なのが、健康への影響です。ユニットバスはもともと湿度が高く、カビが繁殖しやすい環境です。そこに常時水漏れが加わると、カビの発生と増殖を強力に後押ししてしまいます。蛇口周りや壁、床の隅に発生した黒カビは、見た目が不快なだけでなく、胞子を空気中に飛散させます。この胞子を吸い込むことで、アレルギー性鼻炎や気管支喘息といった呼吸器系の疾患を引き起こしたり、アトピー性皮膚炎を悪化させたりする原因となるのです。特に、免疫力の低い小さなお子様や高齢者がいるご家庭では、深刻な健康被害につながる危険性も否定できません。たかが一滴、と侮ってはいけません。蛇口からのポタポタという音は、あなたの家計と家族の健康を蝕む静かな警告音です。異変に気づいたら、できるだけ早く原因を特定し、部品の交換や専門業者への依頼といった適切な対処を行うことが、快適で安全なバスタイムを守るための第一歩となるのです。