壁を叩く音の主犯ウォーターハンマー現象とは
給湯器使用時に発生する「ドンドン」という衝撃音。そのほとんどの原因とされる「ウォーターハンマー現象」とは、具体的にどのような仕組みで起こるのでしょうか。日本語では「水撃作用」とも呼ばれるこの現象は、水道管という閉鎖された空間で起こる水の振る舞いによって引き起こされます。水道管の中を勢いよく流れている水は、電車と同じように大きな運動エネルギーを持っています。蛇口を開けている間、水は一定の速度で流れ続けていますが、蛇口を急に閉めると、先頭を走っていた水は突然行く手を阻まれます。しかし、後ろから続いてくる水はすぐには止まれません。この結果、行き場を失った水のエネルギーが圧力の波となって管内を高速で駆け巡り、配管のカーブ部分や蛇口、給湯器のバルブなどに激しく衝突します。この時の衝撃が、水道管を振動させ、壁などにぶつかることで「ドンドン」という大きな音になるのです。特に近年のシングルレバー混合水栓は、レバーを少し動かすだけで瞬時に水の流れを止められるため、昔ながらのハンドルを回すタイプの蛇口に比べて、ウォーターハンマー現象が格段に起こりやすくなっています。給湯器がこの現象と密接に関係しているのは、お湯を作る過程で内部の電磁弁が素早く開閉し、水の流れを制御しているためです。この現象を放置すると、配管の接続部やパッキンの劣化を早め、水漏れの原因となるだけでなく、給湯器本体の精密な部品にもダメージを与えかねません。