トイレのトラブルにおいてラバーカップは非常に頼もしい味方ですが、万能ではありません。もし数回繰り返しても水が流れない場合、次のステップへ進む前に、まず冷静になって原因を推測することが重要です。もし流したものがトイレットペーパーや排泄物であると確信できるのであれば、お湯や薬剤を使用した方法が効果を発揮することがあります。ただし、ここで注意が必要なのは、熱湯を直接注いではいけないという点です。陶器製の便器は急激な温度変化に弱く、沸騰したようなお湯をかけると、ピシッとひび割れてしまう危険性があります。ぬるま湯を高い位置から細く注ぎ入れ、しばらく放置することで、紙の繊維がふやけて自然に崩れるのを待つのが賢明です。また、重曹とクエン酸を組み合わせて泡を発生させ、その力で詰まりを浮かせるという手法もありますが、これらもあくまで軽微な詰まりに限定された方法です。一方で、もし固形物を落とした記憶がある場合は、これらの方法は一切通用しません。その際に役立つかもしれないのが、真空式パイプクリーナーと呼ばれる道具です。これは見た目こそラバーカップに似ていますが、ポンプの力でより強力な吸引力を生み出すことができるため、ラバーカップでは動かなかった異物を引き出すことができる場合があります。しかし、ワイヤー式のクリーナーなどを使用する際は細心の注意を払ってください。不慣れな人間が無理にワイヤーを押し込むと、便器の内部を傷つけるだけでなく、配管の中でワイヤーが絡まって抜けなくなるという最悪の事態も起こり得ます。ネット上で紹介されている「裏技」の中には、便器を傷めたり状況を悪化させたりするものも少なくありません。例えば、強酸性の薬剤を大量に投入する方法は、古い建物の金属製配管を腐食させる原因となります。ラバーカップで流れないという事態は、もはや化学反応や単純な圧力では解決できない物理的な障害が発生している可能性が高いという警告です。次の一手を打つ前に、その行為が便器や配管にどのような影響を与えるかを考え、自分で行う作業の限界点を決めておくことが、最終的な修理費用を抑えるための知恵と言えるでしょう。