都内在住の田中さん(仮名)は、その日、いつものようにスマートフォンを片手にトイレに入りました。少し長居になるかと思い、ズボンの後ろポケットに入れていたスマートフォンを取り出し、操作しようとしたその一瞬でした。ツルリと手が滑り、愛用のスマートフォンは弧を描いて、便器の中に吸い込まれていったのです。「あっ」と声を上げる間もなく、水没。慌てて手を突っ込んで拾い上げたものの、時すでに遅し。さらに悪いことに、田中さんはパニックのあまり、拾い上げた直後に無意識に洗浄レバーを引いてしまったのです。スマートフォンという異物がなくなったことで、いつも通り流れるだろうと一瞬考えたのかもしれません。しかし、その期待はすぐに裏切られました。水は流れるどころか、ゴボッという鈍い音を立て、便器の縁ギリギリまで水位が上昇してきたのです。スマートフォンを落としただけでもショックなのに、今度はトイレのつまりという二重の悲劇。田中さんは市販のラバーカップで必死の救出作業を試みましたが、つまりは一向に解消されません。それどころか、作業をすればするほど、便器の水は汚く濁っていきます。数十分の格闘の末、自力での解決を諦めた田中さんは、スマートフォンの濡れた画面で水道業者を検索し、緊急対応を依頼しました。駆けつけた業者のスタッフが専用の器具を使ったところ、原因は、田中さんが落とした際にスマートフォンの角が排水路の奥、トラップと呼ばれる湾曲部に絶妙な角度で引っかかり、そこにトイレットペーパーが絡みついて水の流れを完全に塞いでいたことだと判明しました。専門家の手によってつまりは無事解消されましたが、田中さんの手元には、高額な修理代の請求書と、完全に沈黙したスマートフォンだけが残りました。トイレに物を持ち込むという、ほんの一瞬の油断が招いた手痛い出費と教訓。田中さんは、二度とトイレにスマートフォンを持ち込まないと固く心に誓ったそうです。
スマホを落とした一瞬!トイレつまりの一部始終