それは本当に突然のことでした。いつものように朝起きてトイレに入ると、用を足した後の水を流した瞬間、聞いたことのない音が聞こえたのです。ゴボゴボッ、という鈍い音。まるで排水管の奥で何かが呻いているかのようでした。最初は気のせいかと思いましたが、その日家族が使うたびに同じ音が鳴ることに気づきました。そして夕方、私が再びトイレを使った時、異変はさらに深刻になっていることがわかりました。ゴボゴボという音が一層大きくなり、便器に溜まっている水の量がいつもよりずっと少ないのです。底が見えそうなほど水位が下がっていて、これは明らかに異常事態だと直感しました。すぐにスマートフォンで原因を調べると、どうやら排水管の詰まりが原因らしいことがわかりました。我が家にはラバーカップがあったので、まずは自分で直してみようと試みました。説明書きを読みながら、便器の水溜り部分にカップを押し当て、力いっぱい押したり引いたり。しかし、何度繰り返しても状況は一向に改善しませんでした。むしろ、ゴボゴボという音はさらに不気味さを増していくばかり。夜も更け、このままでは明日の朝、トイレが使えなくなってしまうかもしれないという不安が募りました。自分での修理は無理だと判断し、夜間でも対応してくれる水道修理業者を探して電話をかけました。幸いにも一時間ほどで駆けつけてくれるとのこと。業者の到着を待つ間は、水が溢れてきたらどうしようかと気が気ではありませんでした。到着したプロの方は、手際よく専用の器具を使って作業を始め、あっという間に詰まりの原因を取り除いてくれました。原因は、長年の使用で蓄積した汚れの塊だったそうです。あの時の安堵感は今でも忘れられません。この一件以来、トイレから少しでも変な音がしたらすぐに注意するようになりました。トイレの異常は、素人が甘く見ていると大変なことになるのだと身をもって学んだ出来事でした。