マンションにおける水漏れには、勢いよく水が噴き出すパターンと、長い時間をかけて少しずつ染み出すパターンの二種類があります。保険においてより厄介なのは、後者のじわじわと広がる浸入です。ある事例では、築二十五年のマンションの洗面台裏の配管から、数ヶ月にわたって水が漏れ続けていました。住人が気づいたときには、床材の下が腐敗し、階下の天井に大きなシミができていました。このケースで保険会社は、損害の拡大を防ぐ努力を怠ったこと、および漏水の原因が接続部のパッキンの長年の摩耗によるものであるとして、保険金の支払いを一切拒否しました。保険は、一瞬の不注意や外部からの強い衝撃などによる損害を想定しており、ゆっくりと進行する損傷は、その発生した瞬間が特定できないため、事故とは認められないのです。被害を受けた側からすれば、突然天井にシミが出たのだから事故だと言いたくなりますが、加害者側の配管の状態が判定のすべてを握ります。もし配管が壁の中で結露を繰り返し、それが原因でカビが発生し、壁紙が剥がれたとしても、それは湿気による損害としてやはり免責の対象となります。このように、マンション生活における水濡れトラブルは、目に見えない場所での劣化がいかに致命的な金銭的損失を招くかを物語っています。別の成功事例では、漏水に気づいた瞬間に速やかに管理会社と保険会社に連絡し、専門の鑑定人を呼んで、それが特定の地震や外部要因による歪みが原因であることを証明できたため、無事に満額の保険金が支払われました。ここでの教訓は、日常的に水回りの音や湿気に敏感になり、異常を感じたら即座に行動することです。放置すればするほど、それは事故ではなく維持管理放棄の証拠として、保険会社に有利な材料を与えてしまうことになります。マンションの保険制度は複雑で、経年劣化という言葉は非常に広義に使われます。だからこそ、自分の所有する設備の限界を知り、事故の芽を早めに摘み取ることが、保険の免責という最悪の事態を回避する唯一の方法と言えるでしょう。
じわじわ広がる水濡れ被害と経年劣化による免責の事例研究