私たちが現場に急行する際、最も多い依頼内容の一つが、お客様がご自身でラバーカップを試したけれども流れないというケースです。先日伺ったお宅では、三世代が同居する大家族で、朝のラッシュ時にトイレが完全に沈黙してしまったという事案でした。現場に到着すると、便器の縁ぎりぎりまで水が溜まっており、床にはタオルが敷き詰められていました。ご主人が一時間以上ラバーカップで格闘したとのことでしたが、全く改善の兆しが見えないという非常に深刻な状況でした。まず状況を確認するために、カメラ付きの細いファイバースコープを配管内に挿入して調査を開始しました。すると、ラバーカップで流れない理由が明確に映し出されました。詰まりの原因は大量のトイレットペーパーに加えて、紙おむつの一部が混入していたのです。紙おむつや生理用品などの吸水ポリマーを含む製品は、水分を吸収して数倍の大きさに膨れ上がる性質を持っています。これらが配管の中で膨らんでしまうと、ラバーカップで発生させる程度の圧力では隙間を作ることすら不可能になります。そればかりか、圧力をかけることでポリマーがさらに配管の壁に密着し、強力な栓のような状態になっていたのです。このような事例では、通常の清掃道具では太刀打ちできないため、便器を一度床から取り外す作業が必要となります。便器を解体して裏側から確認したところ、トラップと呼ばれる屈曲部分にパンパンに膨らんだ異物が詰まっていました。これを手作業で丁寧に取り除き、配管内に残った残骸を洗浄したことで、ようやく正常な流れを取り戻すことができました。ご主人は、ラバーカップを使えば何でも解決できると思い込んでいたとおっしゃっていましたが、実はその過信が詰まりをより強固なものにしていた側面もあります。この事例から学べる教訓は、詰まった内容物によって対処法が全く異なるということです。特に、水に溶けないものや水分を吸って膨らむものを流してしまった可能性がある場合は、ラバーカップを使用すること自体が大きなリスクを伴います。
ラバーカップで流れない重度の詰まりを解消した修理事例